2019年10月25日金曜日

元ネタ曲紹介。『sweet hereafter』編。


思ってたより先週の「サブスク解禁」の反響があって、ちょっと嬉しいです(笑)。チェックしてくれたみなさん、ありがとう。
新川です。どうも。

というわけで、件のアルバムの話題をもう少し続けましょうか。
今回は、1stアルバム『sweet hereafter』 (2003)を制作するにあたって参考にした、いわゆる「元ネタ」曲をいくつか紹介してみようと思います。

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アルバム1曲目のオリジナルがこちら。ズンタカタッタ、ズンタッ、ズンタッ♪っていうドラムをとにかく叩きたかった(笑)。60年代で絶滅したビート(笑)。これを21世紀によみがえらせたかったんです。


アルバムではもう1曲カバーをやりましたが、そちらのオリジナルがこちら・・・と言っても、これもカバーなんですけどね。本当のオリジナルはアーヴィング・バーリンが書いた古いミュージカルナンバーみたいです。ぼくはこのバージョンでしか知らないんですけど。


その「It’s A Lovely~」を、なぜかカリプソでカバーしようと思い(笑)、アレンジの参考にしたのがこの曲。名盤『Discover America』(1972)に収録されているナンバーです。


アルバムの最後に収録した「Poet of the island」の、これぞ元ネタ(笑)。「パクリじゃねーか」って言われたら、「ハイ、そうです」としか(笑)言いようがありません。

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他にもたくさんの曲を参考または引用またはパクってるんですが(笑)、キリがないのでこのへんで。
ところで前述のヴァン・ダイク・パークスの『Discover America』は、アルバム全体として『sweet hereafter』 に大きな影響を与えています。細野晴臣さんの「トロピカル三部作」もそうですが、ポップミュージックの歴史を独自の視点で切り取ろうとしたその精神性に、当時のぼくは強く惹かれたんです。ある種の考古学的趣味というか・・・そういった音楽との向き合い方は、今でもぼくの創作のインスピレーションであり続けています。

それではまた。

2019年10月15日火曜日

いわゆる「サブスク解禁」のお知らせ。


これまでに発表したぼくのアルバム全3作が、各種ストリーミングサービスでもお聴き頂けるようになりました。なお1stと2ndについては、永らくOTOTOYでのみデジタル販売をしておりましたが、その他の配信サービスでもダウンロード購入が可能になりましたので、そちらもどうぞよろしく。

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1st Album『sweet hereafter』
2003 (Memory Lab)


【NOTE】1950~60年代のイージーリスニングに影響を受けて作った、ぼくのCDデビュー作。全編4トラックのカセットMTRで録音しました。ドラム、ギター、キーボードなど楽器の演奏も全てぼく一人でやっています。ちなみに1曲目と7曲目はカバー曲です。

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2nd Album『Christy』
2005 (Memory Lab)


【NOTE】メランコリックなフォークやヴェルヴェット・アンダーグラウンドのようなロックに傾倒していたころに作ったアルバム。前作に引き続き、全ての楽器演奏から録音まで一人でやりました。クリスティという名前のヒロインが登場する架空の物語をイメージして曲を書いた、いわゆるコンセプトアルバムでもあります。

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3rd Album『Paintings of Lights』
2015 (Botanical House)


【NOTE】ぼくなりの「80年代リバイバル」を試みた作品。前の2作とはうって変わり、全編デジタルシンセサイザーとドラムマシーンによる打ち込みでオケを制作しました。ソングライティングの面では、プリファブ・スプラウトのパディ・マクアルーンに大きな影響を受けています。

2019年10月11日金曜日

自然の摂理。


Apple MusicやSpotifyのことを「サブスクリプションサービス」と言ったり「ストリーミングサービス」と言ったりするけど、どう違うの?
新川です。どうも。

そう思って調べてみたところ(知らなかったのか?と言われてしまいそうですが、ハイ、知らなかったんです)。
まず「サブスクリプション」というのは、定額制の料金システムのこと。「ストリーミング」は、データの配信形式の呼称。
従って「定額制音楽ストリーミングサービス」であるApple MusicやSpotifyは、どちらの名前で呼んでも「同じこと」でした。なぁんだ。もっとも今では「サブスク」って言うのが、くだけた表現としては定着してますよね。

思い返せば、件の「サブスク」のサービスが出てきた当初は驚きました。「なんかスゴい時代になっちゃったなぁ」と。音楽業界からは非難ごうごうでしたけど(笑)。でも今となっては、やっぱりサブスクの登場は必然だったような気もしてきました。宿命というか。
録音芸術の歴史は、その誕生からすでに100年を超えています。当然作品のアーカイブは膨大・・・しかもそれは今この瞬間にもおそろしいペースで増え続けています。
それこそ「絶対に聴いておくべき名盤100枚」なんてよく言いますが、物理法則に従えば、その100枚はやがて1000枚になり10000枚になり・・・無限に増えていくことになります。「聴き切れるか、そんなもん!」(笑)ですよね。
もちろんそんなにたくさん音楽聴く必要はまったくないけど、ただ愛好家や研究者にとっては、もはや毎度律儀に作品を購入していたのではとてもカバーできないほど、音楽は「氾濫」状態にあるわけです。堤防もブッ壊す勢いですよ。
そりゃあ、サブスクのようなサービスが重宝されるわけです。というか、消費形態はそっちに向かわざるを得ないと思うんです。自然の摂理として(笑)。ここまで音楽が増えてしまったからには。

実は、ぼくの今までのアルバムも近々「サブスク解禁」する予定なんです。ぼくもこのへんで、いいかげん時代の要請に従っておくべきかと(別に拒否してたわけでもないんですけど)。ま、それについてはまた後日改めてお知らせしますね。

それではまた。

2019年10月4日金曜日

フェイク・ダイアリー 2019.10.4


また部屋にアレサ・フランクリンの幽霊が現れた。
「忍法・リチャード・クレイダーマン」とは何か?と訊かれたので、そんなものは知らない、なんのことだか見当もつかないと答えると、「たよりにならないのねぇ」などと言われてしまう。

「たよりにならないのねぇ」
「そんなことでたよりにされても困るよ。だいたいなんだよ?『忍法・リチャード・クレイダーマン』って。どこで聞いたの?」
「どこで聞いたかって?どこでだって聞きゃしないわよ。だってアタシの頭の中になんとなく思い浮かんだ言葉だもん。ウフフ」
「・・・ねぇ、どうしてぼくがそんな言葉を知ってるっていうんだい?まして意味なんてわかるはずないじゃないか」
「ダメねぇ。想像力を使いなさいよ。どんなムチャぶりにも、とにかくすぐ答えてみせるのが一流の芸人というものよ。そんなことだからアンタはいつまで経っても二流なのよ」
「ぼく芸人じゃないんだけどな・・・わかったよ、そこまで言うならなんとか答えてやるよ、もう」
「そう来なくっちゃ」
「うーん・・・まず、何かリチャード・クレイダーマンっぽいことが起きるんだろうね。そういう忍法だ。それは間違いない」
「まぁ、そうでしょうね」
「たとえば・・・呪文を唱えると『渚のアデリーヌ』のピアノがどこからともなく聞こえてくるとか」
「いいじゃない。続けて」
「で、あたりは一瞬にして80年代の喫茶店と化す」
「・・・ごめんなさい、そこちょっとよくわからないわ」
「とにかく、まったりした雰囲気になるんだよ。それで敵の戦意を喪失させるって寸法さ。みんな戦うのをやめて、くつろぎたくなっちゃうわけ。で、実際くつろぎ始めちゃうの」
「なんとか持ち直したわ」
「で、その間に逃げる」
「あ、逃げるのね」
「うん、くつろいでる敵をやっつけるのも忍びないからね。忍びなだけに」
「いちおう、うまいと言うべきかしら」
「というわけで、これが『忍法・リチャード・クレイダーマン』。どう?」
「なるほどね。でも、それだったら『忍法・リチャード・クレイダーマン』なんて遠回しな名前を付ける必要ないと思わない?要はまったりした雰囲気を作り出す忍法でしょ?」
「ああ、そうか。『忍法・80年代の喫茶店』のほうが順当なネーミングだね」
「『80年代の』って、いる?『忍法・喫茶店』で良くない?」
「うーん」
「そこがちょっと弱いわねぇ」

たしかに、そこはちょっと弱い。


※この日記はフィクションです。