先日アマプラで、北野武監督の最新映画『Broken Rage』を観ました。北野映画としては、これが初の配信限定作品になるんですね。
新川です。どうも。
まぁ、事前の作品情報で予想はついてましたが、たいへん困った映画でした(笑)。
映画は二部構成になっていて、第一部はたけしさん扮する殺し屋が主人公のハードボイルド調の短いドラマ。そして第二部は、そのパロディー。先ほどと同じ話が、今度はギャグの応酬のコメディーにアレンジされて描かれるというもの。なので、これまでの北野作品で言うと『TAKESHIS’』(2005)『監督・ばんざい!』(2007)みたいな実験映画路線ですよね。
で、今回の『Broken Rage』。正直な感想としては、前半はともかく後半のコメディーパートがヒドい(笑)。くだらな過ぎる。いや、もちろんくだらな過ぎて笑えるレベルならいいんですけど、笑えないレベルのくだらなさだった(笑)。途中からちょっとツラくなってきちゃった(1時間っていう短い尺に救われましたけど)。
でも、これって今に始まったことじゃないんですよね。ぼくは長年の北野映画ファンですけど、映画におけるたけしさんの笑いって昔からこうなんです(笑)。テレビではあんなに面白いのにどうして?って思うんだけど・・・。
たぶん、たけしさんだけの「俺の好きな笑い」を、誰にも気を使わないで全開にするとああなっちゃうんでしょうね(笑)。テレビとか他のメディアでできないことを映画でやってるわけですもんね。
たとえば、椅子に座ったら椅子がぶっ壊れるギャグとか「いつのセンスだよ?」って言いたくなるけど(笑)、でもたけしさんが若いころに影響受けたお笑いって、古き良き昭和のドタバタ喜劇だったはずですから。そういうギャグを今でも愛してやまない気持ちは理解できますよ。それこそ「つまずいてコケる」とか、ずーっとやってるじゃない(笑)。
ミュージシャンだって若いころに身に付けたポップミュージックの話法は、やっぱり後年まで引きずりますからね。古くさいフレーズだとわかっていても「でも好きなんだよな」って思いながら、つい弾いちゃうっていう。
だからそういう視点で『Broken Rage』を観たら、呆れつつもあたたかい気持ちになれるのかもしれない(笑)。
それで思ったんだけど、チャップリンの名画『ライムライト』(1952)をたけしさん主演で今リメイクしたら、すごくいいんじゃないかな。
落ちぶれた老芸人と踊れなくなったバレリーナの少女が、互いに支え合いながらそれぞれの再起を目指す物語ですよ。あの映画でチャップリンが演じた老芸人を、今のたけしさんがやったら絶対いいと思う。想像しただけで泣きそう(笑)。
それではまた。