2021年1月15日金曜日

お洒落なBGM。


ニューアルバム『Street Illusion』のリリース情報を先週ようやく解禁しましたが、思いのほか反響があったので嬉しいです。みなさん、ありがとう。

新川です。どうも。


さて、お知らせでは、今度のアルバムは90’sヒップホップやR&Bの要素を取り入れたとお伝えしましたが。

まぁ、主に90年代前半のヒップホップ・サウンドです。影響を受けたのは。ラップに挑戦するアイデアは断念しましたけど(笑)。

というわけで今回は、そんな90’sヒップホップの魅力について、ぼくなりの視点でお話してみようと思います。


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実はぼく、最初はヒップホップが苦手でした(笑)。

90年代前半に耳にしたブラックミュージックがぼくのルーツであることは再三お話してきましたが、当時ぼくが好きだったのは歌モノのR&Bで、同じブラックミュージックでもヒップホップは正直理解できませんでした。

いわゆるガチのヒップホップね。歌のパートが全部ラップで、ヘビーなドラムビートが1~2小節単位で延々ループしてるようなやつ。

やっぱりメロディーやハーモニーを主体とした音楽が好きだったので、そういった要素を排したヒップホップのような音楽は、聴きどころがわからなかったんです。


ところが、90年代後半になると、ぼくも当時の若者らしく「クラブミュージック」の流行に巻き込まれていきまして。それをきっかけにあらゆるジャンルの音楽を面白がるようになりました。

当時のクラブミュージック・シーンは、もはや「何でもアリ」の、さながら音楽の実験場でした。イージーリスニングとテクノを合体させたりとかね。誰もが斬新なサウンドを追求していて。既成概念を壊されるのが快感だったんです。で、そういう状態で改めてヒップホップに向き合ってみたら、すんなり受け入れられた(笑)。


それで、それまで名前は知ってたけどスルーしていたヒップホップ・アーティストのレコードをいろいろ聴き出したんです。そのとき「あ、これカッコいい!」って素直に反応したのが、ア・トライブ・コールド・クエスト(以下ATCQ)というグループでした。

すごく洗練されたお洒落な音楽だと思ったんですよ。ラップは何言ってるかわかんないしトラックも単調だけど、とにかく曲全体の「雰囲気」がカッコ良かった。

そういう音楽の楽しみ方は、クラブミュージックが教えてくれたんです。音楽の鳴ってる「空間」を楽しむっていうね。要はBGM感覚です。

ともあれ、ATCQを入り口に、ぼくはヒップホップにも親しむようになりました。とくに彼らの全盛期だった90年代前半のヒップホップ・サウンドに。

あくまで「お洒落なBGM」としてですけどね(笑)。ヒップホップの奥の深さを知るのは、もっとずっとあとになってからのことです。

では、ATCQのナンバーを1曲紹介しましょう。この話の続きはまた次回。


> A Tribe Called Quest / ‘’Electric Relaxation’’ (1993)


それではまた。