2016年6月24日金曜日

ウス。


休日の前夜の夜更かし禁止令を自分に下しては自分で破りまくっています(笑)。
「明日は休みだ~」と思うと、どうしても、ね。ダメだなぁ。
新川です。どうも。

たまに夜更かしが過ぎて、朝を迎えてしまうことがあります(若いころはしょっちゅうでしたけど)。
ガラガラとベランダの窓を開けてみると、独特のブルーに色づいた空の向こうに微かな朝日が見えて・・・まぁ「やっちまった」と思いつつも(笑)、目の前に広がる美しい光景に、茫然と見とれるわけです。
そういうときは、夜明けの町の散歩に出かけます。
昼夜逆転型の生活をしているひとには珍しくもない風景かもしれませんが、人並みに昼間働いて夜は寝るという生活を・・・基本的には(笑)しているので、夜の明ける時間帯というのは、普段はぐうぐう寝てますから「存在しない」んですね。そんな時間に外へ出かけてみると、見慣れた町もどこか変わって見える、不思議な空間に思えてくるんです。

実際、「夜明け」というのは、ロマンティックなモチーフとして、物語や歌の世界にもよく出てきますよね。ぼくも気に入ってるんでよく歌詞に書きます・・・もう打ち止めかなと思ってるんですけど(笑)。
映画でも、夜明けのシーンが印象的に描かれる作品がいっぱいあります。個人的に真っ先に思いつくのは、ぼくのオールタイムベストなんですけど、リチャード・リンクレイター監督の「ビフォア・サンライズ」(1995)。タイトルがもうズバリ。
それから、尊敬する是枝裕和監督の「DISTANCE」(2001)、台湾のロマンティック・コメディー、アーヴィン・チェン監督の「台北の朝、僕は恋をする」(2009)なんて作品も。
いずれも「一夜の出来事」モノです。その手のストーリーの構成上、クライマックス(夜の終わり)からエンディング(翌日の朝)をつなぐ重要なシークェンスとして、やはり「夜明け」のシーンは、はずせません。上記の作品は、いずれも夜明けのシーンがとてもいいんです。
すべてが終わって、また、始まる。その束の間の静謐な時間としての夜明け。しかもそのときの風景は、ときに息を呑むほど美しい。・・・詩人や作家であれば、そりゃ取り上げたくなるモチーフです(笑)。「夕暮れ」と似ているようで全然違う、何か言いようのない切なさやロマンティシズムが感じられる時間だと思うんですよね。

先日「夜明けの散歩」をしているとき(「やっちまった」パターン)、ジョギングをしているおじさんとすれ違って。
見知らぬひとだったんですが、すれ違いざまに「ウス」というぶっきらぼうな挨拶をされました(笑)。ふいをつかれたので挨拶を返し損ねたんですが・・・立ち止まって、おじさんの背中を見送りながら、ぼくも「ウス」と呟いてみました。
「ウス・・・また一日の始まりッス」
静かな町の空に雲が流れて、鳥がチュンチュンと鳴いていました。

それではまた。