2021年2月26日金曜日

ビート良ければ全て良し。


「タバコをやめてから太った」って話よく聞きますけど、どうやらぼくもそのケースに当てはまっちゃったみたいです(笑)。最近ほんとよく食べるんだよねぇ。

新川です。どうも。


さて、『Street Illusion』制作裏話の続きです。前回は「ヒップホップのブレイクビーツにどうしたらぼくの歌声を無理なく乗せられるか?」という難題にぶつかったとこまででしたね。
その難題に取り組む前に、ぼくはまずブレイクビーツの「修行」をしました。

何しろ初心者ですから、付け焼き刃でもまずはスキルを身に付けようと思って、好きなヒップホップトラックの数々をお手本に、いろんなパターンのブレイクビーツをとにかくたくさん作ったんです。

そのうちに・・・やっぱり何事も掘り下げると奥が深いですね。昔は「ヒップホップのブレイクビーツなんてどれも同じ」と思ってましたけど(笑)、じっくり向き合うとみんなそれぞれ違う顔と個性を持ってることに気がつきました。ブレイクビーツってこんなに表現力豊かだったのか・・・と。

それこそ聞こえは「ヒップホップのドラムの音」でも、ロマンティックなイメージやセンチメンタルなムードだって表現できることがわかったんです。あるいはそういうフィーリングを聴きとれるようになったんですね。耳が鍛えられて。


これなら、ぼくの書く歌やぼくの歌声にピッタリのブレイクビーツだってあるに違いない。今のぼくなら、きっとそれを見つけ出せる。

そう思って、たくさん作りためたブレイクビーツの中から、試しにひとつ「これは」と思うものをピックアップしてみました。

それは典型的な90’sヒップホップスタイルのビートだったんですが、以前に歌を付けて失敗したものと違うのは、まず格段にクオリティが高くなっていることと、そのビートに、ぼくは「詩」を感じたんです。

クリスマスシーズンの冬の街角、コートを着込み、通りをそぞろ歩く恋人たち・・・そんなロマンティックな情景が頭に浮かびました。ヒップホップのドラムビートを聴いてそんなイメージが湧くなんて妙に思われるかもしれませんが(笑)、実際そうだったんです。

そのイメージにまかせて書いた歌が、「Peaceful Day」でした。
書き上げた歌をそのビートに合わせて歌ってみたとき、「これだ!」と思いました。今度は何も違和感がありません。ヒップホップのブレイクビーツとぼくの歌が、無理なく交わる絶妙のバランスをついに見つけたんです。もう、嬉しくなって小躍りしましたよ。文字通り(笑)。


このことからぼくが学んだのは、ヒップホップも含めたダンスミュージックにおいては、おそらく「ビート良ければ全て良し」(笑)ということです。少なくともぼくはそのような実感を持ちました。

自分でアレンジもするソングライターの方ならわかると思うんですが、「グッと来るいい歌」が書けたときって、それに相応しい素敵なアレンジも自然にひらめくんですよね。きっとそれと同じように、「グッと来るいいビート」ができたのなら、そのビートに相応しい歌を、自然に導き出せるんだと思います。

ですから『Street Illusion』は、全ての曲をビートから作ったんです。まずは「グッと来る」ブレイクビーツを作る。そのビートにインスパイアされる形で歌を書き、更なるアレンジを施していくという、今までとはまったく違うルーティンで制作を進めていきました。

でも新鮮でしたね。「さて曲を書こう」というとき、今まではギターを手に取るかキーボードに向かっていたんですが、まずサンプラーの電源を入れるっていう(笑)。ちなみにAKAIのMPC500っていうやつなんですけど、今回の制作であまりに酷使したので、もうあちこちボタンが効かなくなってしまいました(笑)。


***


「Peaceful Day」をレコーディングしたのは、たしか2016年の暮れでした。当時のブログに、そのときの興奮を書いた記憶があります。「ニューアルバムの方向性を決める1曲ができました!」みたいな。
でも、そこからアルバムの完成までに更なる膨大な時間を費やしてしまったことはご存知の通りです(笑)。まー、めんどくさい作業を延々やったんですが・・・その話はまた長くなる&記憶を所々喪失してるので、またいずれかの機会にしましょうね。思い出したときに話します(笑)。


それではまた。