新川です。どうも。
何しろ初心者ですから、付け焼き刃でもまずはスキルを身に付けようと思って、好きなヒップホップトラックの数々をお手本に、いろんなパターンのブレイクビーツをとにかくたくさん作ったんです。
それこそ聞こえは「ヒップホップのドラムの音」でも、ロマンティックなイメージやセンチメンタルなムードだって表現できることがわかったんです。あるいはそういうフィーリングを聴きとれるようになったんですね。耳が鍛えられて。
これなら、ぼくの書く歌やぼくの歌声にピッタリのブレイクビーツだってあるに違いない。今のぼくなら、きっとそれを見つけ出せる。
そう思って、たくさん作りためたブレイクビーツの中から、試しにひとつ「これは」と思うものをピックアップしてみました。
それは典型的な90’sヒップホップスタイルのビートだったんですが、以前に歌を付けて失敗したものと違うのは、まず格段にクオリティが高くなっていることと、そのビートに、ぼくは「詩」を感じたんです。
クリスマスシーズンの冬の街角、コートを着込み、通りをそぞろ歩く恋人たち・・・そんなロマンティックな情景が頭に浮かびました。ヒップホップのドラムビートを聴いてそんなイメージが湧くなんて妙に思われるかもしれませんが(笑)、実際そうだったんです。
このことからぼくが学んだのは、ヒップホップも含めたダンスミュージックにおいては、おそらく「ビート良ければ全て良し」(笑)ということです。少なくともぼくはそのような実感を持ちました。
自分でアレンジもするソングライターの方ならわかると思うんですが、「グッと来るいい歌」が書けたときって、それに相応しい素敵なアレンジも自然にひらめくんですよね。きっとそれと同じように、「グッと来るいいビート」ができたのなら、そのビートに相応しい歌を、自然に導き出せるんだと思います。
ですから『Street Illusion』は、全ての曲をビートから作ったんです。まずは「グッと来る」ブレイクビーツを作る。そのビートにインスパイアされる形で歌を書き、更なるアレンジを施していくという、今までとはまったく違うルーティンで制作を進めていきました。
でも新鮮でしたね。「さて曲を書こう」というとき、今まではギターを手に取るかキーボードに向かっていたんですが、まずサンプラーの電源を入れるっていう(笑)。ちなみにAKAIのMPC500っていうやつなんですけど、今回の制作であまりに酷使したので、もうあちこちボタンが効かなくなってしまいました(笑)。
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