2025年8月22日金曜日

恐怖奇形人間。


先日、長年未見のままだった、ある伝説的な映画をようやく観ることができました。

新川です。どうも。


その映画とは『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(1969)。もうタイトルからわかるように思いっきりカルト映画です(笑)。日本のカルト映画の帝王、石井輝男監督の人気作にして、長らくソフト化が実現されなかったために一部の映画ファンの間で伝説化していった作品なんですね。

ぼくは20代のころに観た石井監督の『ねじ式』(1998)に衝撃を受けて、それから石井監督のトンデモ映画を追いかけ始めたんですけど(笑)、そのときにこの『恐怖奇形人間』という作品のことを知りました。以来レビューやスチール写真を目にするたびに観たくてしょうがなかったんですけど、当時はリバイバル上映を待つか、海外で出回っている海賊版のディスクを入手する以外にこの映画を観る手段がなく、日々悶々としてました(笑)。まぁ、でもその後は歳月とともに、いつの間にかそんなことも忘れてしまったわけなんですけど。


ところが先日、ひょんなことで久しぶりにこの映画のことを思い出して。「あ、そういえば『恐怖奇形人間』って昔スゲー観たかったんだよな。ひょっとして今配信で観れたりすんのかしら?」と思ってアマプラで検索してみたんです。そしたらあっさり見つかって(笑)。マジか!と。

ちなみに、正確には東映オンデマンドが配信してるのをアマプラを経由して観られるっていう形だったんですけどね。なので新たに入会手続きが必要だったんですけど、今ならお試し期間で無料で観られるというので、これは観るしかない(笑)。


かくして20年越しでようやく鑑賞できた『恐怖奇形人間』。期待通りの狂った映画でした(笑)。副題に「江戸川乱歩全集」とあるように、ストーリーは江戸川乱歩の怪奇ミステリー小説のいくつかをベースにしてるんですけど、そこに映し出されているのは不必要にエグい演出と無茶苦茶な展開に満ちた、まさに石井輝男ワールド。

とくに本作のハイライトとして語り継がれる、舞踏家・土方巽率いる奇形人間軍団による暗黒舞踏シーンは圧巻でした。このシーンをどれほど観たかったことか(笑)。感涙にむせびましたね。まぁ、感涙にむせびつつ「・・・このシーン、いつまで続くんだろう」(笑)。

そしてこれまた語り草になっている「おかーさーん」という悲痛な呼び声が空に響き渡るラスト。まぁ、話の流れ的には、いちおう涙を誘うシーンなわけですよ。悲しい人情話でしっとりと幕を閉じるのは、ミステリードラマの王道でしょ?だから本作もその路線をたどろうとしてるんだけど、それなのになぜ、そんなしんみりする場面で生首が宙を舞っていなくてはならないのか(笑)。「その描写いる?」っていう。

・・・でもやっぱりねぇ、そこがいいんですよねぇ(笑)。そういうとこが石井監督の困った魅力なんですよねぇ。

というわけでこの映画は、一部のゲテモノ好きな方にのみオススメ。それこそぼくの作る音楽みたいにロマンティックな世界が好きな方は観なくていいです(笑)。


それではまた。