アマプラで『ハケンアニメ!』(2022)という映画を観ました。軽いコメディーだと思ってナメてかかったら、予想外に感動そして号泣してしまいました。
新川です。どうも。
・・・あ、ちなみに今回はネタバレしないように感想を話すので、未見の方も安心してくださいね(笑)。
ざっくりあらすじだけ言うと、テレビアニメの制作者たちの奮闘を描いた群像劇なんです。まぁ、コミカルなタッチではあるけど、たぶんリアルな業界のあるあるネタも盛り込まれてるんだと思います。でも主軸になってるのは、吉岡里帆さん演じる新人アニメーション監督が、理想と現実の狭間で苦しみながらも、様々なひとたちとの仕事を通じてやがて一皮剥ける、という成長の物語。
なので後半「胸アツ」な展開になるタイプの映画であることは、始めから予想がつくんです。ただ、その胸アツ具合がこちらの予想を大きく超えてきたので、ナメてたぶん意表をつかれて(笑)ものすごい感動しちゃったんですよ。
吉岡さん演じる主人公は、理想に固執するあまり精神的な余裕がまったくないキャラクターなんです。ゆえに周囲とのぶつかり合いが絶えず、自身も疲弊しきっている。ですから、そんな彼女がドン詰まりの状態からいかにブレイクスルーを果たすかが、この映画の大きな見どころになるわけですけど、それが実に意外な展開によってもたらされるんです。まぁ、作劇的によくあるアイデアではあるものの、まさかのどんでん返しによって、彼女は決定的に心を入れ替えるんですね。
そのシーンが、本当に胸アツだったんですよ。そこまではまだちょっとナメてたんですけど、そこから「え?この映画最高じゃん」ってなって(笑)。
さらにその直後、畳みかけるように胸アツなシーンが続くんです。吉岡さんが普段から仲良くしている近所の小学生の男の子が、どうもイジメを受けているらしいことがわかるんですね。男の子は何も言わないんだけど、彼の体にできた傷を見て吉岡さんはなんとなくそのことを察するわけ。同時に、以前から男の子が厭世的なことを口にしたり、どこか影のある理由がそこで明らかになる。
つまり状況としては、ようやく暗闇の中に光を見出した吉岡さんと、今まさに暗闇の真っ只中にいる男の子が向き合う、というシーンなんですよね。そこで吉岡さんは、当然安っぽい同情ではなく深い共感を示しつつ、こんな言葉で男の子を励まそうとするんです。
「この世の中は、繊細さのないところだよ・・・。でも、ごく、たまに、君をわかってくれるひとはいる」。
・・・この台詞がねぇ、個人的にものすごいグッと来ちゃって。ここでもう涙腺が崩壊しちゃいました。このあとエンディングまでずーっと泣いてて(笑)。いや、思いがけず最高の胸アツ映画に出会えましたね。
まぁ、他にも魅力的な登場人物やエピソードがいろいろあったんですけど、とりわけ吉岡さんにブレイクスルーをもたらすある人物とその役を演じた俳優さんは、本当に素晴らしくてシビれました。気になった方は、ぜひご覧になってみてください。
それではまた。