アマプラで『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(2021)という映画を観ました。2020年にこの世を去った映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネのドキュメンタリーです。
新川です。どうも。
まぁ、映画と音楽を愛するひとであれば、モリコーネを知らずにいる、もしくは愛さずにいることは難しいのではないか?・・・っていうぐらいのキャリアを築いたひとですよね。もちろん、ぼくも大好きです。
最初の出会いはたしか、ぼくがまだ小学生だった80年代にテレビで観た『ルーブル美術館』という番組でした。ルーブルの館内と美術品を毎回ドラマ仕立てで紹介していくNHKのテレビシリーズで、オープニングで流れるテーマ曲が非常に美しくて印象的だったんですよ。で、「音楽:エンニオ・モリコーネ」というクレジットを見て、子どもながらにすぐその名前を覚えたんです。なんか声に出して言いたくなる独特の名前の響きだったこともあって(笑)。
その後、主にテレビで観たいろんな映画のクレジットにその名前を見つけるたびに「出た。エンニオ・モリコーネ」とか言って(笑)。映画音楽で有名なひとであることが、だんだんわかってきたんです。
やがて、そんなモリコーネの音楽に(多くのひとと同様)完全に魅了されてしまったのが、『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988)でした。当時テレビで放映されたのを家族みんなで観て泣きましたよ。
とにかく全編に渡って音楽が素晴らしい・・・とくに号泣必至のあのラストシーンに至っては、モリコーネの音楽なしには成立しないと言ってもいい。
だって音楽がついてなければ、別にそこまで泣けるシーンじゃないですからね。ご覧になった方はわかると思いますけど、古い映画のキスシーンばかりを集めたフィルムがずっと映し出されるだけですから。まぁ、それを観て涙ぐむ主人公のカットがときどき挟まれるにしても。
でもそこにあの音楽が流れるだけで、これ以上ないくらい感動的なシーンになってるのがすごいんです。だから単にムードを盛り上げるだけじゃなく、そのシーンを構成する「決定的な要素としての音楽」を書いてしまうのが、やっぱり匠の技ですよね。マエストロ!って感じ。
でも件の『モリコーネ』を観ると、そんな『ニュー・シネマ・パラダイス』でさえ、彼の軌跡を辿る上では、ちょっと触れられるだけなんですよ。何しろ手がけた名作が多過ぎて(笑)。しかもその内容がまた、同じ一人の作曲家の仕事とは思えないほど幅広い。
それこそ「ピロリロリ~」でおなじみのマカロニ・ウエスタンから、アバンギャルド路線のジャーロ映画まで(初めて知りましたけど、モリコーネは若いころ「ノイズバンド」をやってたくらいアバンギャルドにもドップリだったんですね)。あと、もともとはポップスのアレンジャーとして注目されたひとですから、ポップスのヒット曲もたくさん手がけてるっていう・・・。
いや、映画を観て改めてその圧倒的なキャリアと、天才ならではのエピソードの数々に驚き、そして感動しました。
この映画は、モリコーネは好きだけどそれほど詳しくはない、という方にオススメですね。「えっ、こんな曲も書いてたの?」「あれもモリコーネなの?」みたいな発見があって面白いと思います。
それではまた。