半年ぶりに美容院へ行き、びろんびろんに伸びた髪をバッサリ短くカットしてもらいました。超スッキリ。
新川です。どうも。
さて、前回は『Street Illusion』の全曲解説というのをやりましたが。その中でチラッと、あのアルバムの音作りはピート・ロックの影響をかなり受けたって話をしましたよね。
なので今回は、ぼくの敬愛するトラックメイカー、ピート・ロックの手がけた90’sヒップホップ・ナンバーをいくつか紹介してみようと思います。
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> Pete Rock & C.L. Smooth / ‘’In the House’’ (1994)
まずピート・ロックといえば、ラッパーのC.L.スムースとのデュオ、ピート・ロック&C.L.スムース(そのまんまですね)としての活動が有名なんですが、彼らの曲はどれもカッコいいのでフェイバリットを挙げたらキリがありません。でもとりあえずぼくが最初に「喰らった」のはこの曲でした。2ndアルバム『The Main Ingredient』(1994)の1曲目。フェード・イン/アウトする前フリのようなイントロから、ドンドコドンッ!というキックが聞こえた瞬間、ノックアウトされました。
> Pete Rock & C.L. Smooth / ‘’For Pete’s Sake’’ (1992)
同じくピート・ロック&C.L.スムースの、これは1stアルバム『Mecca And The Soul Brother』(1992)からのナンバー(これまたフェード・イン/アウトの「前フリ」が付いてます)。このトラック・メイキングは本当にスゴい。職人技と言うほかありません。改めて強調しておきますが、これらの楽曲を構成している音のパーツは、それぞれ既存の録音物の一部なんです。それらを巧妙に組み合わせて作られた音楽なんです。ですからピート・ロックのようなトラックメイカーが天から授かった才能は、ひとえにズバ抜けた編集能力の高さだとぼくは思います。
> Nas / ‘’The World Is Yours’’ (1994)
当時のヒップホップ・シーンのトップ・プロデューサーを集めて制作された、天才ラッパー、ナズのデビューアルバムにして歴史的名盤『Illmatic』(1994)。プロデューサー陣にはもちろんピート・ロックも加わっていて、彼が手がけたのがこの曲。フックのヴォーカルはピート自身が歌ってるんですが、これは周囲にそそのかされてイヤイヤ歌ったんだそうです(笑)。本当はちゃんとしたシンガーに歌ってほしかったみたい。でも独特の味わいがあっていいんですよね。ぼく、ピート・ロックの声もけっこう好きなんですよ。ラップも上手いですし。
> INI / ‘’Center of Attention’’ (1995)
最後に紹介したいのがこの曲。ピート・ロックがプロデュースを手がけたラップ・グループ、INI(アイ・エヌ・アイ)のデビューアルバム『Center Of Attention』からのタイトル・トラックです。これを初めて聴いたときは、けっこう衝撃でした。今でこそ耳が慣れてますけど、こういう「チル」なヒップホップ・サウンドをそれまで耳にしたことがなかったんですね。ブレイクビーツが繊細な詩情も表現できることを教えてくれた1曲です。
ちなみにこの『Center Of Attention』というアルバムは、1995年にレコーディングされたもののお蔵入りになってしまい(INIもほどなく解散)、長らく幻のアルバムだった作品なんです。2003年にピート自身の手により、もう一枚別のアルバムと一緒に『Lost & Found: Hip Hop Underground Soul Classics』と題してリイシューされたんですが、これがとんでもない傑作なんです。今では「Pete Rock」もしくは「INI」で検索すれば、サブスクでも見つかるので、興味のある方はぜひ聴いてみてください。
それではまた。