オリジナルと全然違う「別物」のカバー曲の系譜ってありますよね。こないだまさにそんな1曲を見つけました。
新川です。どうも。
R&Bファンならご存知の方もいると思いますけど、Sidibe(シディベ)っていうアメリカの女性R&Bシンガーがいるんですよ。もう20年くらいキャリアがあって、生前のプリンスにも気に入られていたという美人シンガーです。
そのSidibeさんの『Reckless Abandon』(2019)っていうミニアルバムがぼくは好きで、最近また聴き返してたんですよ。で、そのアルバムには「You’re Still the One」っていう曲が収録されてるんですけど、ぼくはずーっとそれはSidibeさんのオリジナルだとばっかり思ってたわけ。でも実はその曲、20年くらい前にアメリカで人気だった女性カントリーシンガー、シャナイア・トウェインさんの有名なヒット曲のカバーだったことが、ひょんなことから判明して。
ちょっとビックリしました。シャナイア・トウェインの「You’re Still the One」は、ぼくも知ってる曲でしたからね。でもSidibeさんのカバーはあまりにも「別物」だったため、ついこないだまでそのことにまったく気がつきませんでした。
ちょっとその2曲を聴き比べてみてくださいよ。まずはシャナイアさんのオリジナルのほうから(中年世代の方なら「あ~、この曲か」って思うんじゃないかしら)。
> Shania Twain / “You’re Still the One” (1997)
で、こっちがSidibeさんのカバー・バージョン。
> Sidibe / “You’re Still the One” (2019)
いかがですか?これは指摘されなきゃ同じ曲だってわかんないですよね(笑)。
まずSidibeさんのカバーは、曲のキーがオリジナルのメジャーからマイナーに変更されています。まぁ、様々なカバーの手法のひとつではあるけど、これを大真面目にやるひとはあんまりいないんじゃないかな(笑)。曲の印象が180度変わっちゃいますからね。アレンジにおいても、オリジナルはあたたかみのあるアコースティック楽器の生演奏であるのに対し、Sidibeさんのほうはデジタル・シンセサイザーを使ったクールな打ち込みサウンドです。
結果的に、さわやかなアメリカン・ポップス然としたシャナイアさんの「You’re Still the One」は、SidibeさんによってR&Bならではの官能的なバラードに変貌を遂げています。面白いですよね。
でね。これとよく似たパターンのカバー曲をもう1曲思い出したんですよ。それはやはりアメリカで90年代に人気のあった男性R&Bシンガー、アル・B・シュア!のカバーしたイーグルスの「Hotel California」なんです。すなわちアメリカン・ポップスの名曲をセクシーでクールなR&Bでカバーしたやつです。
これも聴き比べるとなかなか面白いので、ついでに紹介しておきます。ちょっと長いんだけどね(笑)。ヒマだったら聴いてみてください。
まずは言わずと知れたポップス・クラシックのオリジナルから。
> Eagles / “Hotel California” (1976)
で、こっちがセクシーなアル兄さんのカバー。さすがに曲のキーは同じですけど、雰囲気は全っ然違いますよ。
> Al B.Sure! / “Hotel California” (1990)
それではまた。