さてここからは、『Neon Planet』の元ネタをぶっちゃけよう。のコーナーです。
新川です。どうも。
前回そして前々回と、『Neon Planet』はいかにして作られたか?という話をしてきましたが。
まぁ、毎回ぼくがアルバムの制作裏話をするときは、「この曲はこれのパクりです」とか言って(笑)元ネタをバラしてしまうのが恒例になってますけど、今回はそういう話はないのかと言ったら、もちろんあります(笑)。「新しいポップスを作る」と言いながら(笑)。
いちおう「SF」とか「フューチャー・シティポップ」なんてコンセプトは自力で考えましたけど、そのあとで、すでにそれに近いようなことをやっているアーティストや既存の楽曲を探して参考にするということは、やっぱりやりました。なので、今日はそんな曲をいくつか紹介してみようと思います。
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> KING / “The Right One” (2016)
プリンスをはじめとする大御所たちにも絶賛され、2010年代に注目を集めた女性R&Bグループ、KING(現・We Are KING)の大傑作アルバム『We Are KING』(2016)からの1曲。
ちなみにぼくは『Neon Planet』の構想がまとまってきたころに、ようやく彼女たちとこのアルバムの存在を知ったんですけど、聴いてガクゼンとしちゃいました。
ジャジーかつ未来的なサウンド、そして曲もすごくイイ・・・そのときぼくが「こういうアルバムを作りたい」と頭の中でイメージしていた、まさにそういうアルバムだったんです。だから、自分が思いついたアイデアなんて他の誰かがとっくに思いついて実現してるっていういい例ですよね(笑)。
でも、アルバムの方向性を練り直そうとは思いませんでした。むしろ、もう後戻りできないくらい強烈な刺激をこのアルバムから受けてしまったので、ぼくもこの路線で突き進もうとメラメラ燃え出しました(笑)。というわけで『Neon Planet』の制作中は、ことあるごとにこの『We Are KING』を参考にしてましたね。
> Steely Dan / “Glamour Profession” (1980)
ご存知スティーリー・ダンの名盤『Gaucho』(1980)のナンバー。ぼくはこの曲を初めて聴いたとき、「これは未来の音楽だ」と思いました。それから歳月を経た今でもその感想は変わりません。そして何度聴いても「新しい」と感じます。
でも今から40年以上も前の曲ですから、論理的にはそんなワケないんですよ(笑)。思いっきり「過去の音楽」だし「古い」はずなんです。
でもこの曲の「何か」が、ぼくにはいつ聴いても「新しい」という感想を抱かせるわけです(AORとテクノポップの中間に位置するような不思議なバランス?それともSF級にファンタスティックなコード進行?)。なので「新しいポップス」を作るヒントがこの曲に隠されてるような気がして、これも制作中よく聴きました。
それで気づいたのは・・・結局のところ「新しさ」って、論理じゃなく感覚の問題なんですよね。たとえば、論理的な意味で「新しいポップス」を作るのは、ほとんど不可能だと思うんです。さっきの話じゃないけど、あらゆるタイプのポップスはもう出尽くしちゃったと思いますから。
でも「新しいと感じさせる」ポップスだったら、これから先も無限に作ることができるでしょう。誰かが「新しい」と思ってくれれば、それでいいんですから。ぼくが「Glamour Profession」を聴いてそう思ったみたいに。
だからぼくの「新しいポップスを作る」というチャレンジは、最終的には「ぼくが新しいと思えばそれでいいのだ」っていう(笑)、バカボンのパパみたいなスタンスで押し通すことで決着をつけました(笑)。きっと他にもそう思ってくれるひとがいるはずだと信じて。
> 坂本龍一&カクトウギ・セッション/ “Neuronian Network” (1979)
坂本龍一さんがプロデュースしたフュージョンのアルバム『Summer Nerves』(1979)の最後に収録されているお洒落なインスト・ナンバー。
都会の夜景が目に浮かぶような曲ですよねぇ。もともと夜の都会をイメージしたアルバムをずっと作りたかったって話をしましたけど、そのインスピレーションのひとつがこの曲だったんです。
若いころ一人で映画を観に行った帰りとかに、夜の東京の街をよく散歩したもんですけど、そのときにウォークマンでこの曲を聴くのが好きでした。それこそこの曲を聴きながら「動くネオンサイン」を眺めて、たまんない気持ちになるっていうのをエンジョイしたり(笑)。
「ピュ~ン」とか「プシュ~」とか、時代を感じさせるテクノな電子音が多用されてますけど、それもこういうジャジーな曲と組み合わさると、また独特のセンチメンタルな雰囲気が出ていいんですよね。なので、そのアイデアは『Neon Planet』で拝借しました。
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ちなみにアルバムの構想を練り始めた初期の段階では、ディズニーランドのエレクトリカル・パレードみたいな音楽をやろうかと考えてたこともありました(笑)。ああいうオモチャっぽいキッチュなシンセサイザー・サウンドで、ジャジーな都会のポップスをやるのも面白いんじゃないかと思って・・・。いや、実は今でもいいアイデアだと思ってるんですよ(笑)。捨て難いなと。そのうちやってみようかな。
それではまた。