『Neon Planet』は、いかにして作られたか?前回の話の続きです。
新川です。どうも。
さて「ネオン・ビート」を使った曲作りを始めたぼくの頭の中にあったキーワード、それは「ジャズ」でした。
まぁ、「夜の都会」をイメージしたアルバムを作るんだったら、やっぱジャズだよなっていう、そこはわかりやすい発想だったんですけど(笑)。
だって夜の都会とムーディーなジャズって、最高の組み合わせですからね。「新しいポップスを作る」と言っても、その魅力には抗えませんでした。「枝豆にはやっぱり生ビール」みたいな感じで(笑)。
なので、そこは「王道」で。もっともガチのジャズはぼくには書けないから、ジャズ色の強めなAOR/シティポップ路線でいこうと。あと「ネオン・ビート」以外の要素はあえて王道でいったほうが、その組み合わせによってかえって「新しさ」を演出できるのでは?という意図もありました。
だから最初は、レコーディングも(ドラム以外は)オーソドックスなバンド編成でやろうと考えていたんです。もちろん演奏するのは、ぼく一人ですけど(笑)。
でも試しに1曲やってみたら、そのアイデアは上手くいかないことがわかりました。やっぱりゴリゴリのマシーン・サウンドのネオン・ビートに、「人間的な」楽器の演奏がどうにも馴染まなかったんです。少なくともぼくの拙い演奏と録音の技術では、それは無理でした。
それで仕方なく、バンド編成でアレンジした曲を、全部シンセサイザーの音源を使った打ち込みで表現してみることにしたんです。ギターやベースといった弦楽器の音も含めて。
で、普通はそれをやるとね、カラオケとか有線でかかってるヒットソングのインストバージョンみたいな(笑)安っぽい音楽になっちゃうんだけど、なるべくそうならないように音色やフレージングをアレコレ工夫して打ち込んでみたら、意外と悪くなかったんですよ。たぶんネオン・ビートの特殊さのせいもあって。
もちろん「深み」には欠けるんだけど、それはそれでひとつの表現として成立してる感じがしたんですよね。
なんだかまるで、「ロボットのバンドが演奏してる未来のシティポップ」みたいに聴こえたんです。
で、その瞬間「あ、それ、そのままコンセプトになるじゃん」と。「面白いじゃん」と思って。同時に「SF」っていう世界観も自ずと立ち上がって・・・「見えた」ってなりました(笑)。
だからそれまでイメージしていた「ネオンサインがきらめく夜の都会」は、この現実に存在するものじゃなくて、未来の地球、もしくはどこか別の惑星にある都会なんだっていう想像も膨らんで。
かくして『Neon Planet』というタイトルの、SF映画みたいなアルバムを作ろうと思うに至ったわけです。まぁ、例によって、そこから完成までにはとんでもない時間をかけちゃいましたけど(笑)、でもそのときに思い描いたイメージ通りのアルバムを作ることができたので、とても満足しています。
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ちなみに「SF」というテーマに寄せて言いますが・・・もしタイムトラベルが可能であれば、ぼくはこの『Neon Planet』を、1stアルバムの『sweet hereafter』(2003)を作った23年前の自分に聴かせてみたいです。
間違いなくビックリすると思う。いろんな意味で(笑)。「おれ、23年後にこんなアルバム作るの!?」ってなるはずです。そのときの自分の顔が見てみたい(笑)。
それではまた。