2013年6月4日火曜日

制作日記。2013.6.4


先週に引き続き、まだタイトルも歌詞もなく、4つのコードとメインのメロディーだけ思いついてるものを、編曲しながら膨らましていく作業に没頭。シンセサイザーにかじりついて、思いついた音をどんどん重ねていく。途中で音色を変えてみたり、引いたり、また足したり。
打ち込みの音楽を作っている人にとっては、わりとオーソドックスなやり方だと思うけれど、ぼくは基本的に歌詞と曲の「歌」ができあがってから編曲にとりかかるタイプなので新鮮な気分。

ところで、前回のブログを書いた後、映画雑誌にホン・サンスのインタビュー記事を見つけたので読んでみたところ、これが非常に興味深かった。
ホン・サンスはシナリオを書かないという。近年はあらすじすら用意しないまま撮影に入るらしい。決めるのは「季節」と「場所」、それだけということだった。その後何を撮るのかは、撮影のあるその日の朝とか午前中に考えるというから驚く。

しかし、ふと、これは音楽でいうと、まさに今ぼくがやっているような、サウンドから曲を作っていく方法に近いのではないかと気づく。
前回のブログに、物語ではないところから映画の面白さの核心をどう掴むのか?ということを書いたけれど、それはもしかしたら、例えばミニマルミュージックやアンビエントやエレクトロニカといった音楽を作るときのように、音の響きそのものから核心に迫っていく感覚に似ているのかもしれない。そういうことならぼくでもわかる。

はじめに歌ありき、ということにこだわるぼくは、やっぱり映画作家でいうと物語や脚本第一主義、ということなんだろう。しかし、近年なかなか思うように「脚本」が書けないぼくにとって、この「ホン・サンス式」は、ちょっと勇気づけられるヒントになったような気がする。