2018年1月12日金曜日

やはり曲者。


なんとなく1月って、真夜中の自宅映画鑑賞にぴったりの時期という気がします。
まぁ、年中やってることではあるんですが。
新川です。どうも。

昨日は、好きなリチャード・リンクレイター監督の最新作『エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手に』(2016)という映画をDVDで観ました。
これがねぇ・・・「してやられた!」という映画でした。面白かったです。
リンクレイターについては何度か書いてきたような気がしますが、近年だと何と言っても、前作『6才のボクが、大人になるまで』(2014)がスゴかった!という話題でしょうね。
とある家族の12年間の物語を、本当に12年かけて同じキャストで撮った(!)という前代未聞の試み、そしてその作品の素晴らしさに、ただただ驚き、胸を打たれた作品でした。
で、今回の『エブリバディ~』。今度は一転、大学に入ったばかりの青年の、新学期が始まるまでの3日間の話、ということで一気にスケールダウン(笑)。前作から真逆に振ったという感じですね。
一軒家をシェアする新しい仲間たちとのどんちゃん騒ぎの共同生活の始まり。近くの寮に住む女の子との甘い恋の予感・・・そんな青春時代の最もサイコー!な1ページを切りとった内容なんですが(スイマセン、こっから先ネタバレします)、驚いたことにこの映画、その状態が2時間続き、そしてそのまま終わります(笑)。
何かの達成も、葛藤も、挫折もナシ!ひたすらパーティー三昧の3日間!ただ楽しいだけ!こんなサイコーの青春映画アリかよ!と(笑)。
ただ。「してやられた!」と思ったのは、そのあとなんですね。
主人公が教室で居眠りを始めるという最後のカットが暗転してエンドクレジットが出たとき、「えっ?それだけ?それで終わり?意外とあっけなかったなぁ」と思ったんです。
で、次の瞬間「あっ!」と気づいたんです。今思ったこと・・・「えっ?それだけ?それで終わり?意外とあっけなかったなぁ」・・・これって青春時代の感慨そのものなんですよね。まさに「青春は終わってから気づくもの」という・・・そこで「してやられた!」(笑)。

先述の『6才の~』もそうでしたけど、リンクレイターは、いわゆる「メタ映画」的な、実験的手法を好む監督なんですよね。映画というフォーマットそのものを巧みに利用して内容に生かす表現をよくやるんですが、今回の『エブリバディ~』は「観終わったあと」に、その仕掛けがあったんです。
青春映画に欠かせない「青春の終わり」を暗示するシーンは劇中ほとんど描かれない代わりに、映画そのものが、ふいに、あっけなく終わることによって、見事にそれを表現してみせた・・・やはりリンクレイター、曲者です(笑)。

それではまた。