2018年4月20日金曜日

プリティ・ウーマン。


ここ数年のアメリカ映画は、ヒーロー(または登場人物の誰か)が、なぜかポップ・ミュージック・ファンっていう設定が増えたような気が・・・。
新川です。どうも。

で、総じてみんな昔のポップ・ミュージックを愛好してるんですよね。しかもそれをレコードやカセットテープで聴いてるっていう(iPodも出てくるけどね。でもCDは出てこない)。まぁ、「今っぽい」描写だなぁと思いますけど。
それにしても、昔のポップ・ミュージックを昔のメディアで聴くのが「今っぽい」だなんて、なんだかややこしい話ですね(笑)。

若者たちが昔のポップ・ミュージックを「クールだ」と思い始めたのは、1990年代からでしょう。あんまり大げさに語られないけど、ぼくはこれ、ポップ・カルチャー史におけるコペルニクス的転回だと思ってます。
それまでずっと、多くの若者にとって、自分の親とか上の世代が好む「昔のポップ・ミュージック」というのは常に「ダサい」ものだったはずです。おそらく何十年も続いたであろうその価値観が、90年代にいきなりひっくり返ったんです。
詳しくはわからないけど、その時期そうなるような要因がいろいろ重なったんでしょうね。音楽史的には、やはりサンプリングという手法が出てきたことも重大なきっかけだったでしょうし。

今日のトピックである「映画とポップ・ミュージック」という文脈で、改めてこのことを考えてみたんですが・・・「意外とこれがデカかったかもな」という、ある映画を思い出しました。
タランティーノの『レザボア・ドッグス』(1992)・・・と、言いたいところですが、違います(笑)。それもデカかったけど、その2年前、まさに90年代の幕開けに公開されて大ヒットした、ジュリア・ロバーツ主演のロマンティック・コメディー『プリティ・ウーマン』(1990)です。
有名な映画ですから、ご存知の方も多いでしょう。主題歌は、ロイ・オービソンの「Oh, Pretty Woman」。1964年のナンバーです。つまり、この映画は「昔のポップ・ミュージック」を主題歌に使ったわけですが、当時のメジャー娯楽映画としてはかなり大胆な試みだったはずなんです。「昔のポップ・ミュージック」イコール「ダサい」という価値観がとくに顕著だった80年代からの流れを考えると。
結果、『プリティ・ウーマン』は、ロイ・オービソンもろとも大ヒットです(笑)。これによって、先述の価値観が多くのひとの中で変わったように思います。「昔のポップ・ミュージックも悪くないじゃん」と。「つか、オシャレじゃん」と。
で、『レザボア・ドッグス』ですよ(笑)。タランティーノ一流の古いかつマニアックなポップ・ミュージック使いにぼくらは熱狂したわけですが、その受け入れ態勢を整えてくれたのが、意外と『プリティ・ウーマン』だったんじゃないか・・・そんな気がします。
あ、なんかこんな話を書いていたら『プリティ・ウーマン』また観直したくなってきました。ジュリア・ロバーツが綺麗だった以外は何も覚えてない映画だけど(笑)。

それではまた。