2018年9月28日金曜日

メリル最高か。


DVD鑑賞。スティーブン・スピルバーグ監督の映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017)を。傑作でした。
新川です。どうも。

国家権力に立ち向かう新聞記者たちの活躍を描いた実話を基にした映画だったんですが、言うまでもなく『大統領の陰謀』(1976)を初めとする往年のポリティカル・サスペンスへのオマージュであり、同時に(やはり今日的だと思いましたが)「闘う女性」の物語でもありました。
そのヒロインを演じるのが、大女優メリル・ストリープ。事態に翻弄され、葛藤し、しかしやがて勇敢な決断を下すことになる女社長の役だったんですが、これが素晴らしかった。アカデミー賞ノミネートも(受賞は逃しちゃいましたけど)首がもげるくらい頷ける名演技。とくに、彼女の「決断」を思いとどまらせようとする役員や弁護士の男たちにガツンと言ってやるシーンには、思わず胸が熱くなって泣いてしまいました。
ポリティカル・サスペンスとしてももちろん楽しめましたし(スタッフが全員良い仕事をしている。地味にミラクル)、いちおうトム・ハンクスがW主演なんだけど、ぼくの中では、これはもうメリルのカッコ良さを堪能する映画(笑)。今まで観た中では間違いなくベスト・アクトでした。

それにしても高齢になってからのメリル・ストリープは、すっかり芸風を確立しちゃいましたね。ここ数年に観た出演作は、全部同じキャラで通してる気が(笑)。
こう、ちょっと天然入ってるラブリーなおばさん(笑)みたいなね。陽気でオープンだけどほんとは気が弱くて、なんなら若干うっとうしい(笑)。でも憎めない・・・そんな女性キャラクターを演じさせたら、今メリル・ストリープの右に出る女優はいないんでないかと。
あと、なぜか実在の人物の役が多いんですよね。個人的に大好きな『ジュリー&ジュリア』(2009)では有名な料理研究家、あとマーガレット・サッチャーも演ったでしょ。2年前の『マダム・フローレンス!夢見るふたり』もそうだったし、そして今回の『ペンタゴン~』と。
なんだろう?共通してるのは、全員(いろんな意味で)「大物」ってとこですよね。それも実力というよりは、人柄の魅力で周りのひとを動かしていくタイプの大物。たしかにそんな役はメリルにぴったりなのかもしれません。

『ペンタゴン~』のメイキング映像では、メリルと初共演した若い役者たちが、やっぱり彼女の人柄を絶賛してるんですよ。「ド緊張してたのに、会った瞬間安心できちゃった」「ほんとに素敵なひと」なんて・・・あの笑顔で優しくされたら、そりゃそう思うでしょうね(笑)。ズルいよなぁ、名実ともに不動の地位を確立したスター女優でありながら人受けもいいなんてさ。メリル最高か。

それではまた。