2018年12月21日金曜日

葛藤するヒーロー史。


引き続き『007』を観続けています(笑)。
新川です。どうも。

それにしても、ここまでシリーズが長く続いてる映画ってスゴいですよね。1960年代から現在に至るまで、20作以上も作られてるんですから(まぁ、ダニエル・クレイグ版からはリブートという形になってますが)。しかもビッグ・バジェットの娯楽映画であり続けているという。
だから順番に観て行くと時代の移り変わりが、まさに目に見えて、耳に聞こえてわかるのがまた面白いんです。「あ、ついにパソコンが出てきた」とかね。「シンセ使い出したな」とか(笑)。

ちなみに今はロジャー・ムーア期を観終えて、ティモシー・ダルトン期に突入したところです(笑)。4代目のジェームズ・ボンドですね。時代は80年代後半。
ダルトンのボンドは『リビング・デイライツ』(1987)と『消されたライセンス』(1989)の2本で終わっちゃいましたけど、改めて観直したら記憶していた以上に良かったです。
ロジャー・ムーアの後任という、プレッシャーかかりまくりの大役を見事にこなしていて。イメージを損なうことなく、ちゃんと新しい面も見せてますし。
で、その「新しい面」というのが・・・やっぱり「あっ」と思ったんですが、私情を持ち出すんです、ボンドが。
2作とも、ボンドは仲間を敵に殺されるんです。で、復讐に燃えて行動に出るんですよね。怒りや悲しみの表情を見せるようになるんです。
前回「共感するスキがない」のがボンドの魅力だと(笑)書きましたけど、ここでついに感情移入できるキャラクターに変わるんです(『女王陛下の007』のラストシーンだけは例外ですが)。
相変わらず超人ではあるんですけど(笑)、いわゆる「人間」としての側面も描かれ始めるんですね。今の『ミッション・インポッシブル』のイーサン・ハントのキャラクター造形に非常に近い。その伏線が発生したのが、さてはこのへんかなと。

「葛藤するヒーロー史」の(笑)発端のひとつのような気がします。ちょうど同時期にティム・バートンの『バットマン』(1989)が公開されて、大ヒットしてるんですよね(リアルタイムで観に行きました)。それまでいなかった「闇のヒーロー」が登場した瞬間です。
やっぱり80年代後半がヒーロー映画の転換点かもしれません。バブル崩壊とともに(まぁ、アメリカは関係ないけど)、ヒーローも悩み出しちゃった(笑)。

それではまた。