「おやめください、お代官様」
「よいではないか」
帯をクルクル~。
「アレ~」
っていうやりとりって、実際あったんでしょうか?
新川です。どうも。
オールドスクールな時代劇の定番エピソードですよね。最近の若いひとにはもう馴染みがないかもしれない。「若い娘を手ごめにしようとする悪代官」ってのがよく出てきたんです。
まぁ、着物の帯をほどかれていく娘が、立ったまま回っちゃう(笑)っていうのは時代劇というより時代劇コントですけど。
あと、「越後屋から賄賂を受け取る悪代官」もクラシックですよね。いわゆる「お主もワルよのう」「いえいえ、お代官様にはかないません」うぇーへっへっという。
「代官」って、そんなに悪かったんでしょうか(笑)。どいつもこいつもってわけはないですよね。善良で、みんなから愛された素敵なお代官様だってきっといたはずですよ(「素敵なお代官様」って、ちょっといいですね。レキシさんにそんな歌を作ってほしい)。
そう思って調べてみたら、案の定「悪代官」なんて実際の歴史上にはそうそういなかったみたいです。
「代官」というのはその名の通り、お殿様に代わって各領地を治めるために配置された管理職で、案外身分は低かったようです。おまけに若い娘にちょっかいなんて出すヒマもないほど仕事は忙しく、悪評が立とうものならさっさとクビにされちゃってたんですって。なんだかずいぶんイメージと違いますね。思った通り、命をかけて領民に尽くしたというヒロイックな名代官も数多く存在したそうです。
時代劇で「代官」が悪人として描かれるようになったのは、単にその土地を仕切ってるポジション=土地の権力者であることが、悪役に設定しやすかったからってだけみたいですね。とくにわかりやすいテレビドラマの場合は都合が良かったんでしょう。それより上の身分の連中を悪役にするとストーリーが膨らみ過ぎちゃいますから。
そのように手頃な悪役として時代劇に描かれ続けた結果、代官=悪人のイメージをぼくらは刷り込まれたというわけです。やっぱりつまんないことで偏見は生まれるものですね。
ついでに「お主もワルよのう」のやりとりも、実は時代劇で描かれたことはそんなになかったみたい(笑)。のど飴のCMかなんかで使われたやりとりが妙にウケて定着したんだとか。なんでこんなに浸透しちゃってるのか(笑)。
それではまた。