2020年3月13日金曜日

エレクトロ・ヒップホップ。


世間の関心が一点に集中し始めると、つい、それとはまったく関係のない話題を持ち出したくなる・・・この曲がったヘソは、死ななきゃ直らないみたいです。
新川です。どうも。

というわけで、今日は「エレクトロ・ヒップホップ」の話をします(本当に関係ないっていう)。
数多ある「いっとき流行ったけど、今はすっかり忘れられてしまった」音楽ジャンルのひとつです(言うまでもなく、ぼくは大好物)。
時代は1980年代前半。当時新しい音楽として注目され始めていた「ヒップホップ」のクリエイターたちは、やはり同時期に生まれた新しい音楽「テクノポップ」に異常な刺激を受けていました。彼らはテクノポップを、新しいスタイルの「ファンク」と解釈したんですね。これは自分たちと無縁の音楽じゃないと。
かくしてこの時期、テクノポップの影響を受けた「エレクトロニック色強め」のヒップホップが一部で流行りました。それを「エレクトロ・ヒップホップ」と、まぁ、便宜的にぼくはそう呼んでいます(一般的には「エレクトロ」と呼ばれてますけど、それはテクノの一ジャンルを指す言葉でもあるので)。
代表的なナンバーを1曲紹介しましょう。ちなみにこれは、ヒップホップ・ファンの間ではクラシックとしておなじみの1曲でもあります。


どうですか、この感じ(笑)。ブレイクダンスのシーンはともかく、バンドの衣装や音楽はダサいんだかカッコいいんだか、よくわかんないですよね。そこがたまらないんですけど(笑)。
サウンドは、ビョンビョンしたシンセベースと、TR808や909(ローランドのドラムマシーン)を打ち込んだビートを組み合わせるのが常套で、この時代独特のSFっぽいイメージが特徴です。では、そんな定式を踏まえたナンバーをもう1曲。


途中で唐突に出てくる南米アンデス風のメロディーが謎です(笑)。もしかしたらラップのリリックにそんな内容が歌われてるのかもしれないけど、どうなのかな。
このマン・パリッシュさんは白人の音楽プロデューサーで、どちらかというと「テクノのひと」です。ですからこの曲は「ヒップホップの影響を受けたテクノポップ」なんですね、実は。当時この二つの音楽は、お互いに影響を与え合う素敵な関係だったわけです。
では、あともう1曲、エレクトロ・ヒップホップの代表的なグループ(と言っても、このひとたちしか思い浮かばないんですけど)のナンバーをどうぞ。


この曲がクラブでかかったら、ぼくはガン上がりします。これはフツーにカッコいいと思うんですけど、ダメですかね(笑)。要所要所で出てくるブレイクがツボです。

***

ヒップホップの歴史では、1980年代後半に入るとサンプラーを使った「ブレイクビーツ」の革命が起こります。その後のヒップホップのサウンドを決定づけた、ローファイでぶっとくてレコードの針の音がパチパチいってる、あのビートの出現です。
それによってエレクトロ・ヒップホップは、たちまち「ダサい過去の遺物」と化してしまいました。流行って残酷ですね。
とはいえ、その後もヒップホップのサウンドは変化を繰り返し、現在メインストリームで聴かれているのは、いわゆる「トラップ」というビートですが、あれは異様な進化を遂げて21世紀に蘇った「エレクトロ・ヒップホップ」じゃないかと、個人的には思っています(808使ってるし、テクノ寄りの音だし)。そうやって歴史を辿ると、音楽ってほんと生き物みたいですよね。

それではまた。