2024年1月26日金曜日

「懐かしみ」がない。


先日DVDで『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(2023)を観ました。

・・・別にそんな好きでもないんだけど、このシリーズは惰性で追い続けてしまった流れで、新作が作られると義務的に観てしまいます。

新川です。どうも。


「仕方ない。観るか」って感じで(笑)。でも、今回の『ビースト覚醒』はいわゆる前日譚モノで、舞台は1994年のニューヨーク、そして主人公が黒人という設定もあってか、サウンドトラックはぼくの大好きな90’sヒップホップのオンパレードだったんです。なので、とりあえずテンションは爆上げでした(笑)。

とはいえ、90’sリバイバル映画って、やっぱりちょっと微妙ですね。なんていうか、「そこまで懐かしくない」みたいなさ(笑)。結局90’sカルチャーそのものが今とそれほど大きく違わないから、イマイチ時代設定的な魅力に乏しいんですよね。それは世代に関係なく、多くのひとが持ってしまう印象なんじゃないかな。


たとえば『ビースト覚醒』の劇中、ヒロインがTLCの「Waterfalls」を口ずさむシーンがあったんですよ。言うまでもなくそれは、「Waterfalls」がヒットしてたころっていう「時代感」の演出なわけです。作り手はそのシーンを通じて観客に懐かしい気分を味わってほしかったんでしょう。それはわかるし、実際「懐かしいなぁ」と思いましたよ(なんたって、ぼくが高校生のころのヒット曲ですから)。

ただ・・・これは前々回の話にも繋がるんですけど、如何せん「Waterfalls」という曲自体に「懐かしみ」があんまりないんですよね。30年前のヒット曲とはいえ、音楽そのものは今聴いてもそれほど古臭く聴こえないじゃないですか(そう聴こえたとしても、あの曲の「レトロ感」はあくまで意図的に設計されたものであることは明らかですし・・・)。だから件のシーンを観てて「うーん、懐かしいけど懐かしくない」みたいな(笑)、なんか複雑な気持ちになっちゃって。

で、もっと言うと、それって90年代以降の文化全体に言えるような気がするんです。文化そのものに「懐かしみ」がないって思うわけ。だから今後どれだけ時間が経過しても、それらは本当に「懐かしいもの」にはならないんじゃないかなぁって。


だって『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)を思い出してくださいよ。あれは「現代」がまだ1985年だったころの話ですけど、主人公のマーティがタイムスリップした30年前の世界(1955年)は、もう別世界だったじゃないですか。街ゆく人々の服装や流れてる音楽、車や建物のデザインまで、全てに「懐かしみ」が溢れてましたよね。

同じ30年前でも、1994年の世界にあそこまでの「懐かしみ」はないですよ。ほんと、この違いはいったいなんだろう?って思っちゃいます。


それではまた。