異色かつショッキングな作風が評判のホラー映画界の新鋭、アリ・アスター監督の『ヘレディタリー/継承』(2018)と『ミッドサマー』(2019)を、先日おそるおそる観てみました。
新川です。どうも。
ずっと気になってたんですけどね。なかなか観る勇気が出なくて(笑)。
いや、ぼくホラーはけっこう好きで、コワいシーンもエグい描写もわりと平気なんですけど、ヘビーなドラマが苦手なんですよ。で、件の二作に関しては、ホラー演出はもとより話の内容にダメージを受けたという声をチラホラ耳にしていたので。「そういうのはちょっとなぁ・・・」と思って。
でもここへ来て、とうとう好奇心のほうが勝ってしまいました。やっぱりコワいもの見たさでね。ひとつ度胸試しのつもりで観てやろうと。
で、観てみたんですが・・・結論から言うと、どうってことなかった(笑)。「なんのこれしき」という感じで。すーごい肩透かし(笑)。
あ、でも映画そのものは、どっちもメチャ面白かったです。脚本も演出も非常に巧みでしたしね。なるほど新しいホラーの名手が出てきたなぁと思いましたよ。
ただ、ヘビーなストーリー展開のホラーという点でダメージを受けることはありませんでした(もちろん評判通り、二作ともコワいし、ヤな話でしたけど)。
まぁ、考えてみたらぼくもこれまでに、それこそトラウマ級のコワい映画やヘビーな映画をけっこう観てきましたからね。やっぱりそういった映画体験の積み重ねに鍛えられたおかげですよ。これぐらいのホラーではもはや動じなくなったというのは。
でも、その積み重ねのない状態で件の二作を観たとしたら・・・間違いなく相当なダメージを受けてたでしょうねぇ。
その昔は、あのドラキュラ伯爵が口から血を垂らしながらスクリーンに登場しただけで、観客はおそろしさのあまり悲鳴を上げていたそうです。失神するひとさえいたと言います。
今となっては笑ってしまうほどチープなホラー演出ですけど、当時の観客はそのようなコワい場面をそれまでの映画で目にしたことがなかったんですね。
ですからその観客に『ヘレディタリー』や『ミッドサマー』を見せたら、冗談抜きで発狂したり、ショックで死んじゃうひとがいてもおかしくないと思います(『ヘレディタリー』の終盤なんてもう耐えられないはずです)。
そう考えると「映画の力」って、やっぱりスゴいですよね。
それではまた。