先々週のニュースですけど、ぼくの大好きな映画監督の一人であるデヴィッド・リンチが、去る1月15日に亡くなりましたね。78歳だったそうで。R.I.P.
新川です。どうも。
デヴィッド・リンチと言えば、「難解」「意味不明」とも評されるシュールでミステリアスな作風で、長年カルト的な人気を誇ってきたアメリカ映画界の鬼才。
でもテレビシリーズの『ツイン・ピークス』をはじめ、ヒット作や話題作も手がけているので決してマニアックな存在ではないんですよね。明らかに観るひとを選ぶような作品ばかり撮っているのに、不思議と大衆性も持ち合わせているのがリンチのすごいところです。
ちなみにぼくが一番好きな作品は『マルホランド・ドライブ』(2001)。これが初めて観たリンチの映画だったんですけど、当時ほとんど予備知識ゼロのまま映画館で観て衝撃を受けました。
なんていうか、「謎解きミステリー」ならぬ「謎多過ぎミステリー」みたいな(笑)映画だったんですよね。登場人物たちの周囲で、訳のわからない奇怪な出来事が次々に起こるんです。でもそれらの出来事は互いに脈絡を欠いていて、なかなか話が見えてこない。わかるのは、とにかく彼らの背後で、何か不気味な陰謀めいたものが進行しているようだということ・・・。だからそれがなんなのか知りたくて、食い入るように映画を観てたんです。その一連の不可解な出来事の謎が、最後に解き明かされるカタルシスを期待して。
ところが、物語は謎の解明ではなく、より混迷に向かって突き進むんですね(笑)。話はむしろ、どんどんわからなくなっていくんです。終盤なんてもう無茶苦茶です。で、そのカオスが、もはや極限にまで達したかというところで映画が終わっちゃって「え~~~っ!!」(笑)。
普通のお客さんなら「なんだよこの映画!金返せ!」って話ですよね。でもぼくは、あまりのことに逆にものすごい興奮して「なんだよこの映画!最高!」(笑)。
で、それからリンチを追っかけ始めたんですけど、やっぱり他の作品もそんなのばっかりで(笑)。「なるほど、これがリンチ・ワールドか」と。
リンチの作品はその不条理さゆえ、眠ってる間に見る「夢」によく例えられます。
だとしたら、謎を解明することにそもそもあんまり意味はないんですよね。不条理な夢と同じく「わからない」を楽しむのが、ぼくなりのリンチ作品の鑑賞法です。
もっとも、リンチが好んで描くのは「悪夢」の世界ですから怖いんですけど。なんならヘタなホラーより怖かったりします。でもその怖さが病みつきになって、リンチの映画って何度も観返しちゃうんですよね。
・・・ただ、個人的に『イレイザーヘッド』(1976)はダメでした。あれは精神的にダメージを受けるほど悪趣味な映画だったので、激しくオススメできません(笑)。あれはフツーに悪夢だった(笑)。
それではまた。